【財団主催講演会開催報告】小宮位之氏講演会&大学生ボランティアクロストーク「教えるのは、希望。子どもたちの隣を歩き続ける『伴走支援の力』」~困難を抱える高校生に私たちが手渡せるもの~

​2026年6月13日、当財団は認定NPO法人「八王子つばめ塾」理事長の小宮位之さんをお迎えし、講演会および当財団の大学生ボランティア・神奈川ゆめ奨学生OBによるクロストークフォーラムを開催しました。

​当日の新横浜周辺は複数の大規模イベントで熱気に包まれていましたが、会場のオルタ館もそれに勝る64名もの参加者の熱気に包まれました。また、事前にチラシをご覧になった方から新品のノートをご寄付いただくなど、開催前から温かいご支援をいただきましたことに、心より御礼申し上げます。

​【第1部】基調講演:小宮位之氏(認定NPO法人八王子つばめ塾理事長)

​ご講演では、日本の「子どもの貧困」や「学力の二極化」といった深刻な教育格差の現状を分かりやすく整理していただきました。小宮さまご自身の半生や、東日本大震災の取材を機に「人の役に立ちたい」と一念発起して無料塾を立ち上げた経緯を、エネルギッシュかつ息もつかせぬ語り口でお話しいただきました。

​つばめ塾が実践する、返済不要の奨学金やフードバンクと連携した生活支援、そして何より講師が徹底して生徒に「伴走」し、寄り添いながら未来への希望を伝える姿勢に、参加者一同深く感銘を受けました。不登校や外国にルーツを持つ生徒への新たな取り組みなど、これからの課題に向き合うパワーもいただき、当財団の今後の運営にも大変大きな糧となる貴重な時間となりました。

【第2部】学習支援大学生ボランティア&神奈川ゆめ奨学生OBによるクロストーク

​後半は、当財団の学習支援プログラム「まなびれっじ」で活動する現役大学生ボランティアと、かつて支援を受ける側(奨学生)であり、現在はボランティア講師として活動に加わっている神奈川ゆめ奨学生OBら5名が登壇し、それぞれの視点から「伴走支援」のリアルを語り合いました。

​【背景】高騰する学費負担と、平等ではないスタートライン

第一部の小宮氏のご講演では、現在の子どもたちを取り巻く公的な教育環境の厳しさについても深く言及されました。

2024年度の文系私立大学の平均学費は、1975年の18万円から4.6倍の「86万円」へと高騰しています。これは同期間の物価上昇率(約2倍)と比較しても遥かに激しく、学費負担が家庭の暮らしを大きく圧迫している現実があります。

​さらに、私立高校等に比べて公立高校では手厚い学習指導を受けられる環境に格差があり、家庭の経済状況がそのまま学力の二極化を生み出しています。本人の努力や自己責任だけでは平等に進学を選ぶことができないという構造的な課題に対し、民間による寄り添い型の支援がなぜ必要なのか、改めてその意義が浮き彫りとなりました。

​*奨学生OBが語る「まなびれっじ」に救われた過去

​このような厳しい背景の中、かつて神奈川ゆめ奨学生として通っていたメンバーからは、当時の切実な経験が語られました。

「通っていた公立高校は受験科目の講義や先生に聞ける環境がなく、家も経済的に塾に行く余裕がなかった。ここで大学生の先輩に数学や過去問を質問できたことが大きな支えになった」

「周りに大学生がいない中、自分の行きたかった情報系の先輩から実際の大学生活や指定校推薦の成績の取り方を聞けたことが大きな助けになった」と、単なる学習支援を超えた情報共有の場としての価値を振り返りました。

​*塾とは違う、居場所としての「斜めの関係」

​大学生ボランティアからは、「ここは単に勉強を教える場ではなく、子どもたちの『居場所』。親や先生(縦の関係)、友達(横の関係)でもない『斜めの関係』だからこそ、気軽に高校生活や進路を話せる」という声が上がりました。

お昼ご飯をみんなで食べる時間(パンにジャムを塗ったりする世間話)や、夏のバーベキュー交流会といった何気ない交流の土台があるからこそ、勉強中には聞けない子どもたちの「本音」がポロッと出てくるという現場のリアルが紹介されました。

​*正解のない葛藤の中で、子どもたちの「安全地帯」に

​トークセッションでは、学生たちが日々直面している「寄り添い方の難しさ」についての葛藤も率直に語られました。

「学校に行っていない子が、話を合わせていることに気づいた時、問い詰めるのではなく、まずはここに繋がり続けてもらう関係性を最優先にした」

「重い話をされた時、解決策を提示しようと焦ってしまったけれど、先輩から『まずは頷いて話を聞いてあげることが一番の助けになる』と教わった」

​食事や安心感という土台が満たされて初めて勉強に向き合える。学生たちは、挨拶や、帰りにエレベーターが閉まるまで見送るといった小さな積み重ねを大切にしながら、子どもたちに向き合っています。

最後に「失敗しても戻ってこられる、何かあった時の『安全地帯』でありたい」と、力強い言葉で締めくくられました。

​【事務局より】誰もが安心していられる居場所を、これからも共に

​学生たちの言葉を通じて、無理をせず安心していられる居場所が地域にどれだけ必要かを、私たち事務局も改めて深く考える時間となりました。支援の現場にたった一つの正解はありません。日々葛藤しながら子どもたちに全力で向き合ってくれている学生たちを、事務局も全力で支えてまいります。

​この地道な活動は、皆様からの温かいご寄付(神奈川ゆめ奨学生サポーター、ゆめつなぐ応援団等)によって維持されています。子どもたちが経済的な障壁によって夢を諦めることなく、未来へ希望を繋いでいけるよう、これからも共に歩みを見守り、支えていただけますと幸いです。

​ご参加いただいた皆様、そして日頃より活動を支えてくださっているすべての皆様に、心より厚く御礼申し上げます。

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