前川喜平氏 語る「子どもたちの未来のために」を開催しました
2月24日(月・祝)横浜市西区のビジョンセンター横浜にて、前川喜平氏 語る「子ども
たちの未来のために」を開催しました。
文部科学省事務次官を務められ、現在は、自主夜間中学のボランティアスタッフとし
て活動する前川氏に、教育基本法と現実の乖離、子どもたちの貧困の現状、私たち大
人がしなければいけないことをお話いただきました。
守られるはずの子どもたちが、守られていない
「教育基本法 第4条には『すべての国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受
ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又
は門地によって、教育上差別されない』と明記されています。貧富の差による格差は
認めないとなっていますが現実にはそうなっているでしょうか?」と、疑問を投げか
ける前川氏。
憲法によって守られるはずの子どもたちが、守られていない事実。
また、授業料が無料になり奨学金があったとしても、ひとり親世帯の増加等により、
子どもが働き手として収入を得ないと生活ができない世帯も増えています。こういっ
た現状は個々のプライバシーの問題であることから、学校や地域でも見えにくく、周
囲に気づかれにくいため、子どもたちが問題を抱え込んだまま高校を中途退学をして
しまったり、最悪の場合、自分の命を絶ってしまうこともあります。
「子どもの貧困問題の解決のために、国が数値目標をたてていないことが、そもそもおか
しい。加速していく子どもの貧困を食い止めるには、家族全体を支える仕組みが必要
です。憲法が求めることをやっていない事実に気が付き、大人たちが疑問を持ち、賢
くなることが貧困をなくす方法のひとつです」
前川氏の言葉のひとつひとつが、参加者への気づきとなり、貧困で取り残される子ども
があってはならないことを再認識させられました。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
前川喜平氏の基調講演後は、横浜市鶴見区で、子どもたちの居場所「フリースペース
たんぽぽ」を開設されている「特定非営利活動法人 子どもと共に歩むフリースペース
たんぽぽ」の理事長 青島美千代氏より不登校の子どもたちの現状について事例報告を
いただきました。
学校よりも学習よりも子どもたちの命が大切
テーマは「不登校からみえる子どもたち」~子どもたちから教えてもらったもの~。
少子化の中で、不登校の子どもたちが増加傾向(2018年度は16万4,528人。前年よりも
2万人以上増加)にあり、向精神薬を服用する子どもも増加している現状、そして、たん
ぽぽで過ごす子どもたちの様子や、子どもたちとの旅先での思い出をスライドを交えて
ご説明いただきました。
「フリースペースたんぽぽ が大切にしていることは、学校よりも学習よりも子ども
たちの命です」と青島氏。様々な事情で不登校とならざるをえなかった子どもたちを優
しく迎えれてくれる「たんぽぽ」が必要不可欠なものとなっています。
子どもたちが安心して過ごせる居場所をつくり継続させるには、公的な支援だけでなく
地域の方々、一人ひとりの応援が必要であること、そして、子どもたちのために「人が
大切にされる社会をつくること」が、私たち大人の役目であることを教えていただきま
した。
講演会の最後には、事務局より当財団の活動状況報告、第3期奨学生募集のご案内と
奨学生サポーターの登録及びご寄付の呼びかけをいたしました。
今回の講演会で感じたことをより多くの皆さんと共有し、子どもたちが安心して生活で
きる環境をつくれるよう、様々な団体と連携し取り組んでまいります。
当日は、大勢の方にアンケートにご協力いただきました。
感想の一部をご紹介します。