公益財団法人移行記念講演会を開催

2023年6月5日、波止場会館(横浜市中区)にて、公益財団法人移行の記念講演会を開催しました。

今回で6回目を迎えた本講演会は、公益認定の記念講演会として当財団を支えてくださる関係者、団体の方々90名にご参列していただき、子どもの貧困について知る機会とともに財団設立当初から財団の活動に貢献いただいた団体に感謝状を贈呈する会となりました。

当財団、藤田順子理事長の挨拶の後、神奈川県教育委員会の山下芳彦氏、昨年の講演会演者である放送大学名誉教授も宮本みち子氏から来賓のご挨拶をいただきました。

山下氏からは現状の神奈川県における就学支援制度と今後の制度拡充についてお話いただき、宮本氏からは「近年、現役年齢層の弱体化が顕著で、特に若者がアンダークラス化(下層化)しており、親に頼ることのできない子どもや若者が非常に厳しい状態に置かれている。」と述べられ、この後の阿部先生で詳細に語られるでしょう。」とつなげられました。

子どもの貧困という言葉がまだ日本ではあまり認知されていなかった2008年に著書「子どもの貧困 日本の不公平を考える」を発表され、子どもの貧困や社会課題の研究に取り組まれている阿部彩氏(東京都立大学教授、子ども・若者貧困研究センター長)より「子どもの貧困 現状と対策について」と題して「貧困」とは何か、また調査結果から導かれるデータをもとに現状を解説いただきました。

「子どもの貧困」は、学力、体力、食生活にも深刻に影響 自己肯定感の低下から社会的排除につながっていく

東京都の子供の生活実態調査では、「困窮層」の小学5年生の3割近くは授業が分からないという。

「困窮・周辺層では5割近くが低学年の頃から勉強についていけていない。そんな状態で学校に行っていたと思うと胸が痛いです。」と阿部氏。

学力だけでなく生活面、特に食料についても野菜の摂取頻度が少なく成長期の栄養面にも影響。貧困から自己肯定感の低下、人間関係の劣化そして社会的排除へとつながると説かれました。

また貧困の子どもの過半数は「ふたり親」の結果から、働いても生活ができないワーキングプアの問題を指摘。

この現状から「今は親になるハードルが高すぎます。子育てを気軽に楽しめるように社会が変わっていかなければならない。」と話され、今後、1人でも多くの方に子どもの貧困について知っていただく、周知活動を進めていってほしいと期待の言葉をいただきました。

次に公益化を記念して、設立時から物心両面、運営、広報面で特に貢献していただいた3団体に感謝状と記念盾を贈呈。

代表して、城南信用金庫の吉原様より「人間の価値を後回しにして財政を緊縮したことにより人々の生活を圧迫してきてしまった現状を何とかしていかなければならない。」と若者の支援の重要性を話されました。

当財団、余泰順事務局長から活動報告と、今後もみなさまのお力をお借りしながら高校生に寄り添った伴走支援に邁進していくことの決意を新たに、当財団、柏倉義樹専務理事の挨拶で、公益財団法人移行記念講演会が閉会しました。

講演会後、財団設立母体である生活協同組合パルシステム神奈川様より席を設けていただき、参加者の方々と熱いトークリレーが行われ、改めて多くの方々に支えられて財団があることを感じる懇親会となりました。 同日、理事会、評議員会も開催され、新しい体制で公益財団法人神奈川ゆめ社会福祉財団のスタートを切りました。